この記事では『映画ドラえもん のび太と鉄人兵団』の
- 詳しいあらすじ
- 作品情報
- 見どころ
- リメイク版とのちがい
などを中心に説明していきます。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
『のび太と鉄人兵団』のネット上での感想と評価は、以下の記事にまとめています。
⇒【のび太と鉄人兵団&新・のび太と鉄人兵団】みんなの感想&評価まとめ!
『のび太と鉄人兵団』とは?
「地球を狙う鉄人兵団来襲!ドラたちと巨大ロボット軍団の一大決戦がはじまる!!」
公開年月日 | 1986年3月15日 |
通算 | 7作目 |
監督 | 芝山努 |
脚本 | 藤子不二雄 |
時間 | 97分 |
動員数 | 260万人(歴代映画ドラえもんシリーズで31位) |
主題歌 | 『わたしが不思議』 歌 大杉久美子 歌詞 武田鉄矢 曲 菊池俊輔 |
リメイク | あり。2011年に『新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜』としてリメイク。 |
本作を一言で言うと
「地球侵略を企てるロボット軍団との戦いと、女スパイロボットリルルとの心の交流の物語」
です。
作品のテーマは「ロボットと人間。他人を思いやる心」といった感じです。
舞台は現代の地球。
珍しくドラえもん達は1度も地球外に出ることがなく、過去や未来で戦うこともありません。
そのかわり、鏡面世界が舞台となります。
鏡面世界とは、現実世界と左右が反対で、無人であること以外はなにもかも現実世界と同じ世界です。
ドラえもん映画といえば「ドラえも~ん」でオープニングを迎えるのがおなじみですが、その恒例パターンはこの作品が最初なんですよ。
また、主要キャラの作画がリニューアルされた作品としても知られています。
歴代ドラえもん映画と比較しての特徴は、
- ゲストキャラの心境の変化を繊細に描いた高い作品性!
- 見慣れた町が舞台・敵が早めの登場・ドラえもんが稀に見る本気の戦闘モード、などの要素から漂う生々しい危機感と絶望感!
- 後半はしずかが主役級の活躍!
などが挙げられますね。
リメイク版についても記事の後半で解説していますよ。
『のび太の鉄人兵団』の詳しいあらすじ
1. 巨大ロボットを組み立てろ!
スネ夫にラジコンロボット「ミクロス」を自慢されて悔しいのび太。ビルぐらい巨大なロボットを造り、ミクロスと決闘させると豪語する。
ドラえもんに巨大ロボットを頼むのび太だったが、無茶な頼みにドラえもんは怒ってしまう。
ドラえもんはどこでもドアで北極に頭を冷やしに行き、のび太はその後を追う。
そこで見つけたのが、ボーリングの球のような青い謎の球体だった。ピピッ、ピピッと発信音を鳴らすその球をのび太が眺めていると、突然空中から巨大な鉄のかたまりが降ってくる。
ロボットのパーツのようにも見えるその物体を、のび太は部屋に持ち帰るが、青い球体も転がってついてくるのだった。
ロボットのパーツは次々に庭に降ってくるが、ドラえもんはそのパーツについては何も知らなかった。
2人は、お座敷つりぼりを利用して、人がいない鏡面世界を作り出し、そこでロボットを組み立てはじめる。
頭脳にあたるコンピュータのパーツが見当たらなかったが、代替品を使い、遂にロボットが完成する。
2人はしずかを呼んで鏡面世界でロボットを動かして遊ぶ。そして、ドラえもんの案でロボットにザンダクロスと名前をつけるのだった。
その頃、北極を1人で歩く赤い髪の少女がいた。
電話のような発信機を持ち、何かを探すように歩いている。探しものがこの辺りにないとわかると、空を飛んで別の場所に移動していく。
一方、広場でザンダクロスを操縦するしずかが何気なくボタンを押すと、腹部から光線が発射され、眼前のビルを破壊してしまう。
これに怖くなった3人は、ザンダクロスで遊ぶのは止めて、今日のことは3人だけの秘密にしようと誓うのだった。
2. 謎の少女リルル
その夜、空き地でのび太との決闘を待つスネ夫とジャイアン。そこに、北極を歩いていた赤い髪の少女が現れる。
少女は巨大なロボットを探しているというが、そこにいないとわかるとすぐに2人の前から去っていくのだった。
翌日、裏山にいたのび太、ジャイアン、スネ夫の前にふたたび赤い髪の少女が現れる。
のび太は、言われるがままにリルルと名乗るその少女を家に連れて行くが、そこで探しているロボットについて追求され、ザンダクロスの秘密を話してしまう。
のび太は観念してリルルを鏡面世界のザンダクロスのもとへと連れて行く。
ザンダクロスが反応しないことから、リルルは頭脳である青い球体が組み込まれていないことに気づく。
あの青い球体は、のび太のママが庭の物置きに入れてしまったため、のび太たちに存在を忘れられていたのだ。
のび太がザンダクロスの無断使用を謝罪すると、リルルは許す代わりに2つのことを約束するよう告げる。
1つはおざしきつり堀をしばらく貸すこと、もう1つはこの件は誰にも話さないこと──。
数日後。ドラえもんはのび太とスネ夫達を仲直りさせたい想いから、スネ夫のロボット「ミクロス」に知能をもたせ、会話もできるように改造する。
それに気を良くするスネ夫とジャイアンだったが、のび太は取り合おうとはせず、気もそぞろの様子だった。
その夜、裏山に流れ星が落ちるのを見るのび太。
気になって様子を見に行くと、そこにはおざしきつり堀が設置してあり、流れ星がいくつも鏡面世界に吸い込まれていくのだった。
のび太は自分も鏡面世界に入るが、心配してあとをつけてきたドラえもんに呼び止められ、リルルの件を話すことに。
流れ星の正体はロボットのパーツで、それを運ぶロボットがどこからか飛んできて、回収していく。
鏡面世界でなにが起きているかを探るため、ロボットのあとをつけていく2人。そこで見たのは、街の一部を大きく取り壊して、巨大な基地を建設しているロボット達の姿だった。
2人は、ザンダクロスの肩に乗ってロボットを指揮するリルルを見つけると、糸なし糸電話を飛ばし、リルルの言葉を盗み聞く。
建設中の基地は、ロボットの星「メカトピア」の鉄人兵団が地球人捕獲作戦を実行するためのものだった。鉄人兵団は、基地の完成を待って地球に襲来する──。
盗聴されていることに気づいたリルルは、2人に話しかける。2人は恐ろしくなってその場から逃げだすが、リルルはザンダクロスに乗って追いかけてくる。
おざしきつり堀に飛びこんだ2人だったが、諦めないリルルはザンダクロスの腕を突っこみ、強引に出入り口を広げようとする。
その影響で空間の接点がねじ切れる「次元震」と呼ばれる現象が発生し、大爆発が起きる。
結果、鏡面世界の出入口は消滅し、ドラえもんとのび太はなんとか逃げ切ることに成功し、安堵するのだった。
3. 戦闘開始!ケガをするリルル
翌日。ザンダクロスの頭脳がひっきりなしに発信音を鳴らしていた。ドラえもんとのび太は、ほんやくこんにゃくを当てて、その発信音が何を意味しているのか探ってみる。
頭脳は憎たらしい口調で、鉄人兵団がすでに地球に向けて出発していることを2人に告げて、人間はすでに手遅れだと高笑うのだった。
鉄人兵団の襲来に恐怖を感じた2人。警察や思いつく限りの場所に電話をかけて危機を知らせるが、誰も相手にしてくれず、唯一信じてくれたのはスネ夫とジャイアンだけだった。
これからどうするか困る4人だったが、スネ夫の案でまずはザンダクロスを味方につけるため、頭脳を改造してみることに。
一同はしずかの家の風呂から鏡面世界に入り、裏山に倒れているザンダクロスに改造した頭脳を取り付けてみる。
その頃、自宅の風呂が鏡面世界の入口になっているのに気づいたしずかは、自分も鏡面世界に入り、無人の街でミクロスと出会う。
もくろみ通りザンダクロスは味方になり、鉄人兵団到着の前に基地を破壊する4人。基地には不思議とロボット達の姿は見えず、通信室らしき部屋からリルルを呼ぶ声が漏れ聞こえてくる。
モニターにはリルルと連絡を呼ぶ敵の司令官が映し出されていて、明晩には鉄人兵団が地球に到着することを4人は知る。
するとロボットが続々と基地に帰還しはじめ、4人は敵を通信室に近づかせないよう、戦闘を開始する。
一方、しずかとミクロスは裏山のザンダクロスが倒れていた場所で、怪我をしているリルルを見つける。
傷口を見たしずかは、リルルがロボットだと知るが、それに気づいたリルルは突然眼を開けてしずかを襲う。
ミクロスがしずかを助けてリルルは再び気を失うが、しずかはリルルを手当するため、自宅に運ぶようにミクロスに頼むのだった。
しずかは2階のベッドにリルルを寝かせて、1階に降りたところで侵入してきたロボットに襲われる。ところが、間一髪でのび太に助けられる。
全員でしずかの部屋に集まり、リルルをどうするかで意見が割れる。スネ夫やジャイアンは治療には反対するが、最終的に鉄人兵団について話を聞きだすためにも、しずかが治療にあたることに。
しずかの懸命な看病により気がついたリルル。
リルルはしずかの献身に戸惑いつつ、神がロボットを生んで以来の歴史と、人間を奴隷にする正当性を語る。
話をきいて呆れるしずかにリルルは熱線を発し、怪我をさせるが、自らも意識を失う。しずかは怒りに震えるが、それでもリルルを見捨てることなく看病を続けるのだった──。
4. 鉄人兵団襲来!
一方、明日に迫る鉄人兵団の襲来を待って、ドラえもんはある作戦の実行を決断する。
それは、湖の湖面を鏡面世界の入口にして、ザンダクロスの発信音を鳴らし続け、地球に到着した敵をそのまま鏡面世界に呼びこむというアイデアだった。
ドラえもんは作戦成功のためにも、鏡面世界のことを知っているリルルは眠らせるのが最善と判断し、しずかに睡眠薬を渡す。
ところが、リルルはしずかに飲まされた睡眠薬をあとから吐き出し、部屋から逃げ出すのだった。
鉄人兵団は続々と鏡面世界に飛び込み、首都圏を皮切りに破壊をはじめる。敵の行動を読んでいたドラえもんは、東京一帯に山びこ山を仕掛けていた。
山びこ山は敵の光線を感知して同じ光線を返すため、効率よく反撃しつつ、人間が街の中にいるという錯覚を敵に与えることに成功した。
一方、リルルが逃走を知った一同は、散り散りに街の中を探していた。のび太は偶然にもリルルを発見し、一緒に帰るように説得するがリルルは耳を貸さない。
撃つぞ、と警告したのび太が撃ちきれずにいると、逆にリルルがのび太を撃って、その場から逃走する。
一向に人間の姿が見えないことを不審がる鉄人兵団の司令官は、合流したリルルにその理由を問い詰める。
隠れてその様子を見守っていたドラえもんとのび太は、リルルが奴隷狩りは中止すべきだと訴えるのを目の当たりにする。
司令官の怒りを買ったリルルは、投獄されることになるが、ドラえもんとのび太はロボットに連行されるリルルを助けることに成功する。
その後、しばらく人間の姿が見えないことに戸惑う司令官だったが、宇宙から見た地球の地形が反対だと気づき、ようやく鏡面世界のトリックを見破るのだった。
司令官は、至急世界中に散った兵団を湖に集結させる。
兵団が大移動する様子から、トリックがバレたことを悟った一同は、しずかとミクロスを残して湖に向かう。
果たして、兵団との最終決戦に勝機はあるのか?
ラスト
しずかは、ミクロスとリルルの発言をヒントに、過去に戻って鉄人兵団の先祖を創った神(科学者)に会えば、兵団を止める方法がわかるかもしれない、と思いつく。
タイムマシンに乗った3人は3万年前のメカトピアで神に会い、ロボットが暴走している現状を伝える。
一方、ドラえもん達は最初こそ善戦していたものの、世界中に散らばっていた兵団が帰ってくると劣勢になり、頼みの綱のザンダクロスも、大量の敵に抑え込まれてしまうのだった。
神は自分の非を認め、兵団の祖先であるアムとイムのプログラムを書き換えはじめるが、途中で息を引き取ってしまう。
リルルは、見事にその続きをやり遂げるが、その瞬間に鏡面世界で戦っていた兵団はタイムパラドックスにより消えてしまう。
兵団の一部であるリルルも体が輝きはじめると、「今度うまれかわったら天使のようなロボットに。。。」という言葉を残してこの世から消えてしまう。
ドラえもんたちは敵が消えた理由はわからなかったが勝利を確信し、やがて鏡面世界に戻ってきたしずかと喜び合う。
後日、のび太が教室から空を見ると、そこに消えてしまったはずのリルルの姿がある。リルルは優しく微笑むとそのまま空の彼方に飛んでいくのだった。
登場人物
レギュラーメンバー
本作で注目すべきレギュラーメンバーは、しずかです。
前半はしずかが目立つシーンはありませんが、後半から終盤にかけて重要な役割を果たしますよ。
しずかファンなら必ず一度は観てほしい映画が、この『のび太と鉄人兵団』です。
ゲストキャラクター
リルル
鉄人兵団の一員。完全なロボットだが、のび太いわく外見は「外国人の女の子」。鉄人兵団の地球侵略の拠点を作るべく、先んじて地球にやってきた。
空を飛ぶことができ、手から熱線を放つこともできる。祖国メカトピアを愛し、鉄人兵団に忠誠を誓うが、人間の優しさやその感情の複雑さに触れて、形容し難い感情を覚える。
ザンダクロス(ジュド)
のび太とドラえもんが作り上げた巨大ロボット。
北極で最初のパーツを見つけたことから、サンタクロースをもじって「ザンダクロス」と名づける。リルルや鉄人兵団はジュドと呼ぶ。
腹部にミサイルを搭載するが、戦闘用ロボットではなく、土木工事用ロボット。青いボーリングの球のような「頭脳」を持ち、本来自分1人で考えて行動できる。
ミクロス
スネ夫のいとこ、スネ吉が作ったラジコンロボット。
物語の途中でドラえもんが改造をほどこし、人間並みの知能を得て、自由意志で行動するようになる。
緊迫感に満ちた後半では、コミカルな言動で場を和ませてくれる存在。(いわゆるコメディ・リリーフ)
人気の高いキャラだが、リメイク版では序盤の登場のみになっている。
最初、スネ夫のお気に入りロボットとして描かれているが、ストーリーが進むにつれてスネ夫にポンコツ扱いされるのが、かわいそう。
博士
3万年前にロボット版のアダムとイブである「アム」と「イム」を造り、メカトピアを建国した科学者。人間に絶望したのが建国したきっかけ。ロボット達に理想郷をつくらせようとアムとイムに競争本能を植えつけるが、3万年後の結果を見ると、それは間違った判断だったといわざるを得ない。
敵キャラクター
鉄人兵団司令官
鉄人兵団のリーダー。ボディは金色、肩と目は赤いカラーリングで、小さな2本の黒いツノを持つ。人間を見下し、人間を奴隷にすることしか考えていない。
リメイク版では少しデザインが変わり、オスのカブトムシのような立派なツノを持ち、金色から赤ベースのカラーリングに。
『のび太と鉄人兵団』に登場するひみつ道具
登場する道具一覧
- どこでもドア
- タケコプター
- かるがるてぶくろ
- 逆世界入りこみオイル
- おざしきつり堀
- サイコントローラー
- 糸なし糸電話
- 空気砲
- ほんやくこんにゃく
- 金属探知チョーク
- メカ救急箱
- コンピューター睡眠薬
- 瞬間接着銃
- スモールライト
- 改良型山びこ山
- さがしものステッキ
- スペアポケット
- ショックガン
- ひらりマント
- 即席落とし穴
- ビッグライト
- 入りこみミラー
- 壁紙秘密基地
注目のひみつ道具
注目すべきひみつ道具は、おざしきつり堀と逆世界入りこみオイルです。
『のび太と鉄人兵団』では、鏡面世界がストーリーのカギを握っています。
その鏡面世界を作り出す道具が、おざしきつり堀と逆世界入りこみオイルです。
入りこみミラーも鏡面世界へ入る道具ですが、終盤に1度しか登場しません。
『のび太と鉄人兵団』の見どころ
つぎに見どころをピックアップしてお伝えしますね。
ザンダクロス&多様なロボット
本作には敵、味方に様々なロボットが登場します。
なかでも、序盤にのび太とドラえもんが巨大ロボット「ザンダクロス」を組み立てるシーンは注目ですよ。
「自分だけの巨大ロボットを組み立てる」という男の子なら誰もが一度は夢見るシチュエーション。
パーツがのび太の家の庭に空から落ちてきて1つずつ増えていく様は、圧巻です。
しかもそれを誰もいない鏡面世界で自由に動かせるなんて。。。
まさに男の子の夢を具現化したシーンで、序盤から一気に作品に引き込まれますよ。
ザンダクロス以外にもミクロスのかわいさや、敵ロボットの80年代の香りが漂うデザインも秀逸です。
鉄人兵団とのバトル!
物語の後半は、鉄人兵団とのバトルが始まります。
これが歴代ドラえもん映画史上トップクラスに見応えがあります。
実際に全面戦争が始まるのは終盤なのですが、少ない戦力で強大な鉄人兵団の戦力と渡り合うために、ドラえもんが巧みな戦術を考え出します。
ドラえもん映画でよくある、ひみつ道具が使えなくなるなどの制約もなく、100%の力を発揮するバトルモードのドラえもんが観れる作品といえますよ。ギリギリの状況でも全力で地球を守ろうとするドラえもんたちの信念がストレートに胸を打ちます。
ちなみに、バトルシーンだけでいうとリメイク版のほうが見応えがあります。
リルルとしずか
本作で一番注目すべきキャラが、リルルです。
このリルルが何者なのか明かされないまま、序盤のストーリーは進んでいきます。ミステリアスな雰囲気をまとい、不思議な力を持つ女の子──。
途中でその正体が明かされ、その背後にいる大きな存在も明らかになってきます。
序盤はほとんど感情の起伏を見せないリルルですが、のび太やしずかと触れ合うことで、少しずつ変化の兆しが芽生えてきます。
やがて自分の持つ信念が揺らぎだし、とんでもない行動をとることに。
このリルルの繊細な心境の変化を描いたことが、本作がアニメ映画史で高い評価を受けている要因だと感じます。
リルルの変化の大きなきっかけとなるのが、しずかです。
しずかの優しさと純粋さ、そして互いに信念をぶつけあうことで、リルルの人間に対する見方が変わってくるんですね。
2人の関係が重要なサイドストーリーとして展開していき、それが深まってきたところで、感動のラストへと物語は繋がっていきます。
リルルとしずかの物語が中心に据えてあることで、本作は男の子だけではなく、女の子にも見応えがある作品として仕上がっていますよ。
リメイク版『新・のび太と鉄人兵団』とは?
続いては、リメイク版の『新・のび太と鉄人兵団』について解説していきます。
基本情報
公開年月日 | 2011年3月5日 |
通算 | 31作目 |
監督 | 寺本幸代 |
脚本 | 清水東 |
時間 | 108分 |
動員数 | 227万人(歴代映画ドラえもんシリーズ37位) |
主題歌 | BUMP OF CHICKEN「友達の唄」 |
人気作『のび太と鉄人兵団』のリメイクということで、大きな期待のなか公開された本作。
監督の寺本幸代さんは『のび太の新魔界大冒険』に続き、ドラえもん映画2作品目。リメイクの手法も、新魔界大冒険のそれを踏襲していると感じました。
オリジナルに忠実なリメイクではなく、新キャラクターを据えて、新しい『のび太と鉄人兵団』を創るという方向性ですね。忠実型ではなく、大胆型のリメイクです。
また、オリジナルからはずれるけど、逆に原作に忠実なシーンも結構あります。
ストーリーの軸は同じですが、ピッポというかわいいキャラクターを登場させて、より子供にアピールする作品になりました。
同時に、複数の設定や伏線を追加して、登場人物の感情をより強く印象的に描いています。今どきのドラマチックなアニメ映画の方法論でドラえもん映画を撮った、という言い方もできるかもしれません。
それを饒舌過ぎるとするか、はたまた感動的になったと受け入れるかで評価が別れると思います。
追加ゲストキャラクター
重要なゲストキャラクターが追加されました。
ピッポ
ザンダクロスの頭脳。登場はオリジナルと同じ青いボーリングの球のような形状だが、ひみつ道具「おはなしボックス」により、青いヘルメットをかぶったヒヨコの外見に変身させられる。
リメイク版では、のび太達に深く関わる重要キャラとして描かれる。
ゲスト声優
キャラクター | リメイク版声優 |
---|---|
総司令官 | 加藤浩次(極楽とんぼ) |
福山雅秋 | 福山雅治(特別出演) |
本作のゲスト声優は少ないです。
主要キャラでは、鉄人兵団の総司令官を演じる極楽とんぼの加藤浩次さんだけですね。
加藤浩次さんはハスキーな声が総司令官のイメージにあっていて、タレントさんが声優をしたときにありがちな違和感もなく、素晴らしい演技でした。
福山雅秋は、もともと福山雅治さんを元ネタにした過去に通常版のドラえもんで登場したことがあるキャラクター。それが、劇場版にも登場したという流れのようです。ちょい役なのでストーリーにはほとんど絡んできません。
最後に
『のび太と鉄人兵団』は、ドラえもん映画屈指の名作との呼び声が高い作品です。
男の子の好きなロボットを題材に、サイドストーリーとして女の子同士の心の交流を描いているところに、藤子先生のバランス感覚を感じます。
また、哲学的なテーマを扱う重厚なストーリーのため、年齢層を選ばない作品になっています。人生の節目節目に観なおしたくなる映画ですよ。
本作を特におすすめできるのは
- ドラえもん映画の名作を観たい人
- 大人も楽しめる骨太なドラえもん映画が観たい人
- 泣ける感動作が観たい人
といった感じです。
お子さんと一緒に見るときは、ぜひリルルの心境の変化についていろいろとお話してくださいね。
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