この記事では『のび太のパラレル西遊記』のストーリーの詳細がわかる詳しいあらすじを紹介しています。
映画を見ずに物語の展開を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
『パラレル西遊記』の感想・考察は、以下の記事でまとめています
『のび太のパラレル西遊記』とは?
「のび太たちの新しい冒険は、孫悟空や猪八戒が大暴れする『西遊記』世界で始まる!」
公開年月日 | 1987年3月14日 |
通算 | 8作目 |
監督 | 芝山努 |
脚本 | もとひら了 |
時間 | 90分 |
動員数 | 280万人(歴代映画ドラえもんシリーズで29位) |
主題歌 | 『君がいるから』 歌 堀江美都子、こおろぎ’73 歌詞 武田鉄矢 曲 山木康世 編曲 都留教博 |
リメイク | なし |
『のび太のパラレル西遊記』を一言でいうと「歴代ドラ映画とは少し趣向の異なる西遊記を題材にしたSF冒険活劇」です。
本作のテーマは「少年たちの戦いと成長」だと感じました。
ただ、歴代作品と比べてメッセージ性は弱めです。
舞台は、1350年前の中国&のび太が暮らす現実世界。
歴代映画ドラえもんシリーズと比較しての特徴は、
- 藤子先生の存命時で、唯一藤子先生が原作を描いていない作品。
- 研ぎ澄まされたホラー演出。特に物語の前半。
- さっぱりとしたエンタメ色が強い冒険活劇。
などが挙げられますね。
ちなみにパラレル西遊記は、昭和最後のドラえもん映画でもあります。
『のび太のパラレル西遊記』のあらすじ
1. 孫悟空を探せ!
学芸会で演じる「西遊記」をクラスで練習中、居眠りをするのび太。
夢の中では孫悟空になって活躍するのび太だが、現実はしがない村人役だった。
納得の行かないのび太は、孫悟空の役は本物に似ている人間がやるべきだと主張する。ところが、本物の孫悟空がいるわけないと一同から笑われてしまう。
もし孫悟空が自分に似ていたら役を交代しろと言い残し、のび太は孫悟空を探すため、タイムマシンで1350年前の中国に出発する。
砂漠地帯に到着し、三蔵法師の一行を探すのび太。すると、筋斗雲に乗って空を飛ぶ自分そっくりの孫悟空を発見する。
さらに、偶然見つけた行き倒れた少年を助けると、その少年から悟空様と名前を呼ばれるのだった。
これらの出来事から、のび太は孫悟空が自分に似ていたと確信し、意気揚々と現代に戻ってくる。
その頃、ドラえもんはバーチャルな世界でヒーローになって遊べる道具「ヒーローマシン」で遊んでいた。
現代に戻ってきたのび太は、早速ジャイアン、スネ夫、しずか、ドラえもんを連れて、もう一度1350年前の中国に向かう。
ところが、タイムマシンの性能上、到着時間に24時間前後の誤差があり、さっき孫悟空が通り過ぎた時間にたどり着くことができないのだった。
これでは、孫悟空や少年とふたたび会うことは難しいと焦るのび太。
もし嘘だったらドラえもんの道具使い放題という無茶な約束をジャイアン達にしたこともあって、のび太は隠れてドラえもんに泣きつくのだった。
困ったドラえもんは、さっき遊んでいたヒーローマシンを使ったある作戦を考える。
それは、のび太に西遊記のソフトをプレイさせて、孫悟空の衣装と能力を与えたあとに、ゲームフィールドをオープンに変更し、現実世界に呼び戻すというものだった。
そうすれば、現実世界でもゲーム内と同じ条件でいられることから、顔と能力をジャイアン達に見せて納得させることができる。
打ち合わせどおりマシンから離れた場所で、孫悟空が現れたとジャイアンたちを呼び出すドラえもん。そこに登場し、下手なパフォーマンスを行うのび太。
その間、岩陰に置きっぱなしのヒーローマシン。ゲームは続行中のままで、出入り口から続々と敵キャラクターの妖怪が飛び出してくるが、誰も気づかないのであった──。
2. 妖怪に塗り替えられた歴史
結局、ジャイアンに嘘だと見破られ、現代に戻ってきたのび太。
早速、ひみつ道具使い放題の一環として、ジャイアン達はヒーローマシンで西遊記を遊びはじめる。
ところが、ゲーム内にまったく敵が出現せず、すぐにクリアになってしまうのだった。
翌日。学芸会の練習で、5人はクラスの様子がおかしいことに気づく。
西遊記の話の中身が、三蔵法師が妖怪に食べられる話になっているのだ。
それをおかしいと訴えると、先生は怒りに震えて妖怪に変身してしまう。
イヤな予感がするドラえもんとのび太は、妖気が漂う街の中を探索し、異様な中国風の塔が建てられているのを発見する。
ドラえもんは、ヒーローマシンの開けっ放しが原因で、歴史が妖怪達に塗り替えられたことに気づく。
伝承されている西遊記の話が変わってしまったのも、ゲーム内の妖怪が三蔵法師を殺すようにインプットされていた影響だった。
5人は妖怪達をヒーローマシンに戻すため、再度唐の時代へ向けてタイムマシンで出発する。
3. 妖怪を回収せよ!
ドラえもん達が唐に向けて出発した頃、三蔵法師はリンレイという少年と2人で天竺へ向けて旅をしていた。
三蔵にお供しはじめて10日目のリンレイは、とても素直な少年に見える。
岩肌に囲まれた山間部に到着した5人。すぐに妖怪の仕業による落石に襲われる。
同時に、落石から走って逃げる三蔵とリンレイの姿を見つけるのだった。
筋斗雲に乗ったのび太は、妖怪を追って崖の上まで浮遊し、そこに西遊記の敵キャラでお馴染みの金閣と銀閣を見つける。
戦いの末、銀閣には逃げられたものの、金閣をマシンに回収することに成功した5人。
三蔵たちとはそこで別れ、先回りして妖怪を回収することに。
三蔵を仕留めそこなった銀閣に対し、あんたのせいで計画が狂ったと怒りをあらわにする羅刹女。
羅刹女は三蔵にスパイを仕向けていたのだが、銀閣達はそのことを知らなかったのだ。
歩き続けて疲弊した5人は砂漠にキャンプを張る。
その頃、三蔵法師とリンレイも岩陰で火を焚きながら、眠りにつこうとしていた。
夜、キャンプを出て星空を見ているのび太。
そこにしずかがやってきて、隣に座る。
「孫悟空ってお話だけじゃなかったのかもね。ほんとはのび太さんがそうなのよ」
話を続ける2人の後ろを、1匹の妖怪が気付かれないように通り過ぎていく。
妖怪はリンレイのもとに行き、2人は岩陰でなにやら相談をするが、三蔵は偶然目を覚ましてその様子を見てしまう。
翌朝。出発前に祈りを捧げている三蔵を妖怪達が取り囲み、そのままどこかに連れ去ってしまうのだった。
その様子を影で見ていたリンレイは、苦悶の表情を浮かべながら「ごめんなさい」とつぶやき、どこかに走り去ってしまう。
4. 牛魔王を倒せ!
夜が明け、出発するドラえもん一行。
眠くて士気が上がらないため、のび太が筋斗雲で三蔵法師が出発したかどうか偵察に行くことになる。
その頃、リンレイは泣きながら砂漠をひた走っていた。
筋斗雲で砂漠の上空を進むのび太。その時、孫悟空を探しに未来からやってきたのび太が、筋斗雲に乗る孫悟空を目撃するのだった。
リンレイはとうとう砂漠に倒れ込むが、未来から来たのび太に水を与えてもらい、息を吹き返す。
一方、孫悟空ののび太は敵のボス牛魔王がいる火焔山にたどり着くが、羅刹女が立ちふさがり、中に入れさせてもらえない。
帰りの遅いのび太を追って砂漠を歩く4人。
そこに突然、銀閣が現れる。ドラえもんが機転をきかせて、なんとか銀閣をマシンに回収することに成功する。ところが、一瞬のスキをつかれてしずかが地中に隠れていた妖怪にさらわれてしまう。
一方、羅刹女の芭蕉扇に彼方まで吹き飛ばされたのび太だったが、偶然にもそこでリンレイと出会う。
リンレイは、三蔵が妖怪に連れ去られたと嘘をつく。そこにしずかを探していた3人も合流する。
火焔山の前にたどり着く一行。
炎の勢いは凄まじく、中に入ることができない。ボスである牛魔王を倒せばすべての妖怪たちの機能も消すことができる、とドラえもん。
果たして4人とリンレイは、しずかと三蔵を助け出し、妖怪達を回収することができるのか?
ラスト
火焔山の前で八方塞がりの一行。
そこで隠れた入口の存在を指し示したのはリンレイだった。
突然人が変わったように積極的になったリンレイは、躊躇する一同を鼓舞して、的確に指示を出しながら先頭を進んでいく。
その様子に違和感を持ちながらもついていく4人。
罠だらけの洞窟を抜け、牛魔王のいる城の入口にたどり着くが、そこでリンレイ以外の4人が落とし穴にはまり、敵に捕まってしまう。
柱にくくりつけられるドラえもん達と三蔵法師。
眼の前には巨大な煮立った鍋があり、その前には牛魔王が座っている。
いよいよドラえもんが鍋に入れられそうになったところで登場したのは、タイムマシンに乗ったドラミだった。
同時にリンレイがみんなの縄をとき、筋斗雲に乗ったのび太と牛魔王の一騎打ちが始まる。
煮立った鍋がこぼれ、城内に一気に炎が燃え広がる。
リンレイの案内で先に出口に向かったジャイアン達だったが、そこに立ちふさがったのは羅刹女だった。
「母さん!」
リンレイが叫び、皆ははじめてリンレイと羅刹女の母子関係を知る。
ピンチを迎えるが、最後には如意棒を巨大化させて牛魔王を倒したのび太。
同時に全ての妖怪は妖術が使えなくなり、飛べなくなった羅刹女はマグマに落ちていく。
火山が噴火をはじめるが、どこでもドアでなんとか外に逃げだす一行。
すべてが終わり、リンレイは皆に迷惑をかけたことを詫びる。ドラえもんは、逆に自分の不注意で妖怪たちをこの世界に招いてしまったことを詫びるのだった。
三蔵法師は、両親を失くしたリンレイを預からせてほしいと願い出て、リンレイは、三蔵法師の真の弟子となって旅を続けること──。
ドラえもん達は現代に戻り、世界が元に戻っていることを確認して、胸を撫でおろすのだった。
最後に
『のび太のパラレル西遊記』は、「ドラえもん×西遊記」というそのコンセプトと、ホラー演出のインパクトの強さから根強いファンが多いです。
藤子流とはまたちがった表現もあって、歴代作品中でも独自のポジションを占める作品ですね。
パラレル西遊記をおすすめできるのは以下のような人です。
- 西遊記の世界観に惹かれる人
- 芝山監督のホラー演出が好きな人
- 泣がせる感動系ドラえもん映画よりも、純粋な冒険系ドラえもん映画が好きな人
ぜひ不気味かつ爽快な、シルクロードの冒険世界を楽しんでください!
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