『のび太と雲の王国』とは?あらすじと見どころを解説(ネタバレ注意)

この記事では、映画ドラえもん『のび太と雲の王国』の

  • 詳しいあらすじ
  • 基本情報
  • 見どころ

などを中心に解説します。

ぜひ最後まで読んでくださいね。

『のび太と雲の王国』とは?

映画公開時のキャッチコピー

「地球から消えた動物達を追え!謎のUFOの正体は…?ほんとうに天国ってあるの?」

 

『のび太と雲の王国』
公開年月日 1992年3月7日
通算 13作目
監督 芝山努
脚本 藤子・F・不二雄
時間 97分
動員数 340万人(歴代映画ドラえもんシリーズで14位)
主題歌 『雲がゆくのは…』
歌 武田鉄矢
曲 深野羲和
歌詞  武田鉄矢
リメイク なし
ざっくりストーリー

天国の存在を信じるものの、それを証明できずに落ちこむのび太。

ドラえもんの提案で、雲の上に自分だけの夢の王国を造るが、ひょんなことから天上人が住む天上界に迷いこんでしまう。

やがて、天上人が『ノア計画』と呼ばれる恐るべき計画を企てていることがわかる。

地上世界の運命は、ドラえもん達5人に託された──。

歴代映画ドラえもんシリーズと比較しての特徴はこちら。

  • 環境問題や核兵器の抑止力など、現実世界に基づく難しいテーマを扱っている
  • 一筋縄ではいかないストーリー展開かつ、わりと複雑な物語構成
  • 過去のTVシリーズキャラクターが登場

『のび太と雲の王国』の特徴の1つが、自然破壊に対する人間への警告をテーマに据えていることです。

また、現実世界の核兵器保持による抑止力を彷彿とさせるシーンも登場し、ネット上でもその是非について論争になるほど。

雲の王国という、いかにも子どもが好きそうな夢のある題材を扱っているものの、裏ではシリアスでメッセージ性の強いテーマを扱っている。

そういう意味で、『のび太と雲の王国』は同じ社会派作品としてよく名前があがる『のび太とアニマル惑星』と同じ構造を持っているといえます。

序盤の雲の王国建設時は夢のある楽しい雰囲気に満ちていますが、途中で天上人が現れてからは不穏な空気が少しずつ漂ってきます。

同時に、ぶつ切りだった物語の断片が一つにまとまっていくような過程があり、少々複雑な物語構成となっています。

過去のドラえもん通常回に登場する「キー坊」や「ホイ」が登場し、ストーリーにも濃密に関わってくることも、大きな特徴といえますね。

『のび太と雲の王国』の詳しいあらすじ

ネタバレ注意!
ここからは詳しめにあらすじを書いていきます。ネタバレを気にする方はスルーしてくださいね。

1. 雲の王国を造ろう!

太平洋に浮かぶ無人島。そこには、嵐によって漁の最中に流されてたどり着いた漁師の親子と祖父がいた。

救助を待って暮らす3人に、ある日不思議な光が近づいて警告がなされる。
「はやく船に乗って出てゆくがいい。この島は近い内に大雨で流され消えてしまうだろう」
その夜、3人が眠っていると、警告どおり天の底が抜けたような大雨が降り注ぎ、島は流されて消えてしまうのだった。

その頃、この世界のどこかに天国が存在すると主張し、それを証明してみせるとジャイアン、スネ夫に約束したのび太。
天国についての書籍を読み、ドラえもんにもたずねてみるが、現実には存在しないと悟り落胆してしまう。

そんなのび太に、ドラえもんは、ありもしない天国よりも自分で雲の上に夢の国を造ろうと提案する。

こうして2人の雲の王国造りがスタートする。

雲を固めて地面をつくり、緑を植えて、しずかにデザインを頼んだ城の建設にも着手する。

王国内の湖を温めるために、南に雲を走らせる2人。
太平洋の真ん中まで来た2人は、洪水のあとのような大量の流木の残骸を発見する。

辺りを調査していると、2人は不思議な雷雲に襲われ、肝を冷やすのだった。

王国の完成までには、人手と道具の購入資金が足りないことから、2〜3年はかかると判断したドラえもんとのび太。

そこで、のび太のアイデアにより、ジャイアン、スネ夫、しずかに株主になってもらい、資金を集めることにする。

こうして、5人は新たに雲の王国造りをはじめるのだった。

2. 天上世界に迷いこむ

アフリカのサバンナ。密猟者が、象にライフルの照準を合わせて狙っている。すると、キーンという不思議な音を聞いた途端、象ともども上空の雲に吸い込まれてしまう。

同じく、ブラジルのアマゾンでも一部の範囲の動物や樹木が、ねこそぎ雲に吸い込まれていく。

一方、雲の王国でそれぞれの時間をエンジョイする5人だったが、突然、王国に衝撃音が響き渡る。
王国の地下に急行するドラえもんとのび太。衝撃音の理由は、王国の一部が北アルプスの槍ヶ岳にぶつかったためだった。

ひっかかっている部分をはずしていると、巨大なカメのような生物が、背中に倒れた人を乗せて近づいてくる。
それは冒頭の無人島で流された漁師の少年だった。

ドラえもん達は意識のない少年を王国内に連れて帰り、応急手当をほどこして、地上世界に戻る。
ドラえもんは、巨大なカメのような生物の正体を探り、それが6000年前に絶滅したはずのグリプトドンだと判明する。

その夜、雲の王国に1台のUFOが飛来し、2人の羽の生えた人間が現れると、寝かされていた少年を連れていってしまう。

翌日、王国に戻ってきた5人は少年が消えていることに気づき、まいごさがし機「ごはんだよー」を設定して、少年が戻ってくるのを待つことにする。

その間、ケンカするジャイアンとスネ夫をおとなしくさせるため、ドラえもんは『雲の国王冠』をのび太にかぶせる。王国内では王冠をかぶっている者の言うことは絶対で、だれも背くことはできないのだ。

少年が戻ってこないことから、5人は少年を見つけた槍ヶ岳を探してみることに。

その頃、のび太が2階にいないことに腹を立てたママは、そこにあったどこでもドアを開けようとして、目盛りをいじってしまう。

5人は少年を探すのを諦めて、風に流された王国を探し出して雲の中に入る。ところが、そこで出会ったのは、マンモスに乗ったパルパルという天上人の女性だった。

5人が戻ったのは雲の王国ではない別の雲で、そこは天上人が支配する天上世界だったのだ。

3. 脱走失敗。ドラえもんが壊れる!

ドラえもん達が迷い込んだのは、絶滅動物保護州という場所で、地球上で絶滅したとされる動物がたくさん暮らしていた。

5人はパルパルに天国見学の案内をしてもらうことになったが、その日は遅かったので宿舎に泊まることに。

ところが、宿舎にいたもう1人の天上人の男は5人をやたらに警戒して、その傲慢な態度を隠そうとしない。さらに、5人は寝室にカギをかけられたことにも腹を立て、宿舎を抜け出して王国に戻る決意をする。

通り抜けフープで外に出て、王国を探す5人。
すると、すぐに雷雲が寄ってきて、全員が雷に打たれて森の中に落ちてしまうのだった。

ジャイアン、スネ夫、しずかはすぐにパルパルともう1人の天上人の男グリオに見つかり、言い争いになる。

森には凶暴な動物がいることから、3人は不本意ながらも、ドラえもん達が見つかるまで宿舎に連れてかえってもらうこと。

一方、朝になってようやくドラえもんを見つけたのび太だったが、故障していて、まったく話が通じないのだった。

そこでのび太は旧知の中であるドンジャラ村のホイくんと出会う。のび太は昔、開発でホイくんの故郷のドンジャラ村が消えてしまったときに、アマゾンの奥地に案内して、安心して暮らせる町を造ってあげたのだった。

ホイくんはアマゾンの町が開発で消えてしまったときに、天上人にこの絶滅保護州に連れてきてもらったのだという。

のび太は新ドンジャラ村に案内されるが、そこでホイくんがグリプトドンとその背に乗った少年について、知っていることがわかる。

のび太はホイくんに少年の住む家まで案内してもらうことに。

その頃、ジャイアン達はパルパルに連れられて天上界の首都がある中央州に移動していた。
大統領との会談のため、天上界を訪れた植物星の大使が乗るクルマが、パトカーに護衛されながら走っている。

3人は入国手続で記念の指輪をもらい、その後パルパルから天上人が驚くべき計画を実行しようとしていることを聞かされる。

それは「ノア計画」といって、天上界から大雨を降らせて地上のすべてを洗い流してしまうという恐ろしい計画だった。
地上人や生物は一度天上界へ吸い上げて、地上のすべてを洗い流してから、ふたたび地上に送り返すのだという。

さらに、パルパルはノア計画の最終決定をくだす議会に、3人も地上側の証人として出廷してもらうという。

一方、のび太は久しぶりに少年と再会し、詳しい話をきくのであった。

4. 未来を変えろ!ノア計画を止めろ!

少年タガロは自分を助けてくれたのび太に感謝し、自分達が天上界に連れてこられた経緯を話しはじめる。

タガロ親子とその祖父は、大雨が降った無人島にいて、流されたところを、突然雲に吸い上げられて、この絶滅保護州につれてこられたのだという。

母親が心配しているため地上に戻る決心をしたタガロは、グリプトドンの穴を掘る習性を利用して、雲に穴をあけ、あの槍ヶ岳に降り立ったのだという。

ところが、タガロは天上人にもらった指輪が発信機になっていることを知らず、雲の王国で寝ているところをパルパル達に連れ戻された。しかも、一度つけた指輪は外すことができない。

のび太はホイくんのアイデアと助けにより、万能たづなを利用して鳥の背中に乗り、ようやく天上界から脱出する。

無事に王国に戻ったのび太とドラえもんは、どこでもドアで家に戻る。ところが、ドアを開けると世界は大洪水に襲われていて、壊滅的な状態となっていた。

家の外に流されたドラえもん。その拍子に故障が治り、溺れるのび太を助ける。

途方に暮れる2人はひとまず雲の王国に戻るが、そこでママがどこでもドアの時差調整ダイアルをいじっていたことに気づく。

自分達が10日後の未来を見たことに気づくと同時に、大洪水で世界が破滅したのだとすれば、22世紀から来たドラえもんが無事だということに矛盾を感じるのび太。

未来を変えられる可能性があると気づいた2人は、天上人のノア計画を食い止める方法を思いつく。

一方、ジャイアン、スネ夫、しずかはノア計画の最終決定をくだす議会で地上人のために証言をする。そこには、アフリカで象とともに天上界に吸い上げられた4人の密猟者もいた。

その日の審議が終了し、一度ホテルに戻ったところで、ジャイアンとスネ夫が逃げ出すが、発信機をつけているため、すぐに連れ戻される。

4人の密猟者もパトカーを奪って逃走し、ドラえもんとのび太がいる雲の王国に逃げ込む。

果たして、5人は天上人のノア計画を止めることができるのか?

5. ラスト

4人の密猟者は、天上人がノア計画を実行しようとしていることをドラえもん達に伝える。

そこで、ドラえもんは雲を地面のように固まった雲をもとに戻す『雲もどしガス』を切り札にして、天上人と交渉をはじめる。

あくまで交渉用で、雲もどしガスを実際に使う気はなかったドラえもん。ところが、密猟者達はのび太がかぶっている『雲の国王冠』を奪い、雲もどしガスを発射してしまう。

天上界のエネルギー州は破壊され、大パニックに。
パルパルとジャイアン、スネ夫、しずかは雲の王国にやってくるが、密猟者に捕らえられ、のび太、ドラえもんと久しぶりに再会する。

パルパルにエネルギー州が破壊されたことを聞いたドラえもんは、自分が雲もどしガスを準備したという自責の念から、自分が犠牲になる覚悟を決める。

僕が飛び出したらみんなはUFOに乗って、と言い残すと、地下牢の入口を突き破って、雲もどしガスのタンクに飛び込むドラえもん。タンクは爆発し、雲の王国は崩れ落ちる。

意識を失ったドラえもんと4人は議会に呼ばれるが、そこで
地上人を擁護する新たな証人として植物星の大使が現れる。
大使とは、ドラえもんとのび太が過去に地球上で育てて、知性を与え、植物星に送り出したキー坊だった。

ドラえもんはキー坊の不思議な力で意識を取り戻し、キー坊との再会に喜ぶ。地上人をかばうキー坊の誠実な演説により、議会でノア計画の中止が議決され、天上人は植物星に移民として受け入れられることが決まる。

5人はいつか地球上でパルパルと再会することを約束し、美しい地球環境を取り戻すことを誓うのだった。


『のび太と雲の王国』のネットユーザーの感想と評価は、以下の記事にまとめています。

⇒【のび太と雲の王国】みんなの感想&評価まとめ

『のび太と雲の王国』の登場人物

ドラえもん

歴代作品のなかでは、のび太とともにかなり目立つシーンが多いです。

『のび太と雲の王国』のドラえもんのシーンといえば、本作のハイライトとともいえるラストのダイブ。

自分が天上人との交渉の切り札に出してしまったことで、「雲もどしガス」を密猟者たちに勝手に使われることに繋がる。その責任を感じて、「雲もどしガス」に突っ込み、意識不明の重体になってしまうくだりですね。

のちに、そのドラえもんの行動が天上人や周辺人物の心を動かす材料になりますが。
あとストーリーには関係ないですが、大山のぶ代さんの声が鼻声気味なのが気になります。

のび太

『のび太と雲の王国』でドラえもんの次に目立っているのがのび太です。
いつものように「天国はある」と無茶で空想的なことをいいだし、ストーリーの起点に。
雲の王国建設後は国王になり、故障したドラえもんを治すために奮闘します。
最初から最後まで、主人公らしい描き方をされます。

しずか

いつもの冷静な視点と判断力は健在ですが、本作ではソロで目立ったシーンはありません。
持ち前の純潔さでパルパルとコミュニケーションを取り、地球人として好印象を与えて、その協力を引き出します。

ジャイアン

映画では優しくてカッコいいのがジャイアンですが、『のび太と雲の王国』では珍しく見せ場はほとんどありません。

議会に出廷後、逃走を図って天上人の心証を悪化させてしまうなど、短絡的な行動が目に付きます。ただし、ノア計画の話が出る前から天上人の怪しさを見抜いている点は鋭いです。

スネ夫とともに、本作ではのび太やドラえもんの引き立て役に回っている感じ。

スネ夫

ジャイアンと同じく、『のび太と雲の王国』では、単独の見せ場はありません。雲の王国建設時に、大株主となったことで態度が大きくなり、珍しくジャイアンにも強気の態度を取るシーンがあります。

ジャイアンと同じく、「恐るべき陰謀を企んでいる」として、天上人の怪しさに気づいています。

ゲストキャラクター

パルパル

天上人で、絶滅動物保護州で管理員を務める女の子。
天上世界に迷いこんだドラえもん一行に優しく親切に接してくれます。一方、「ノア計画」については秘密にしており、地上人を憎み、信頼していない本音を漏らすシーンも。
その後、しずかたちと行動をともにすることで、すべての地上人がダメなわけではないと次第に考えを改めます。

グリオ

パルパルと同じく、絶滅動物保護州で管理員を務める天上人の男。
あからさまに地上人を敵視しており、その態度を隠そうともしない。

ドラえもんたちが絶滅動物保護州の宿舎から逃げ出したのも、グリオの悪態と部屋にカギをかけた判断が直接的な原因。
そう考えると天上人との関係がこじれたのはグリオのせいともいえます。

ラストの別れのシーンでパルパルが一行を地上に送り届けてくれますが、そのとき当然のようにグリオの姿はありません。

タガロ

漁師の息子。親子三世代で漁をしていたところ、嵐に流され無人島に漂流。その後、大雨に降られ、島ごと天上に吸い込まれてしまい、絶滅動物保護州で暮らしている。なんとか天上世界から逃げ出そうとして、雲の王国にいたのび太たちに保護されます。

ホイ

小人族(しょうじんぞく)の少年。てんとう虫コミックス35巻『ドンジャラ村のホイ』に登場します。

「ドンジャラ村のホイ」では、人間の開発により住み家を追われていたところ、ドラえもんとのび太にアマゾンの奥地に移住させてもらった経緯あり。

本作では、アマゾン移住ののち、そこからも追われて天上人によって天上世界の絶滅動物保護州に移住させてもらったという設定です。

キー坊

「植物自動化液」をかけられたことで人間のように動き、話し、考える知性を持つ木。てんとう虫コミックス33巻『さらばキー坊』で初登場。コミックス登場時は若木で、話の最後に地球から離れ、植物星に移住したという設定だった。

『のび太と雲の王国』では植物星の大臣として地球を訪れている。外見は、ヒゲを蓄えた壮年に成長している。
議会でのび太たちに助けられた過去を話し、天上人を説得してくれる重要なキャラクター。

敵キャラクター

密猟者たち

象牙をおもに狙う4人組の密猟ハンター。
ケニアで密猟中にゾウやジープとともに天上界に吸い上げられる。
ジャイアン・スネ夫・しずかが証人として出廷したノア計画の実行の是非を判断する議会に4人も出廷していた。

その後、護送中にパトカーを奪って雲の王国に逃げ込む。そこでのび太がかぶっていた「雲の国王冠」を奪うと「雲もどしガス」を発射して、大混乱を巻き起こす。

『のび太と雲の王国』で登場するひみつ道具

登場するひみつ道具一覧

  • タケコプター
  • 雲かためガス
  • 雲よせ機
  • ロボッター
  • 雲ローラー
  • 浮き水ガス
  • 自動万能工事マシーン
  • 「植物の元」シリーズ
  • マジックドーム
  • ソーラーカー
  • お医者カバン
  • 宇宙完全大百科
  • まいごさがし機「ごはんだよー」
  • 雲の国王冠と飛行スカーフ
  • 通り抜けフープ
  • 万能たづな
  • 雲もどしガス

注目のひみつ道具

雲かためガスと雲もどしガス

雲の王国づくりに大活躍するのが「雲かためガス」です。文字通り雲を地面のように固めることができる道具。逆に、固めた雲を普通の雲に戻す効果があるのが「雲もどしガス」です。

「雲もどしガス」は天上世界を支える雲にも効果があるため、ドラえもんは天上人との交渉の際に、「雲もどしガス」を発射することをちらつかせ、それがのちに事態の混乱を招いてしまいます。

雲の国王冠と飛行スカーフ

王冠かぶった人間のいうことは絶対で、反論したりはむかったりできなくなる道具。ただし、効果は王国内のみ。
終盤、のび太がこの道具を密猟者たちに奪われ、ピンチを招く。

『のび太と雲の王国』の見どころ

つぎに見どころをピックアップしてお伝えします。

雲の王国を作るワクワク感

雲の上に素敵な世界が広がっていたら、どれだけワクワクするだろうか。
自分だけの王国を建設できたらどれだけ楽しいだろうか──。

子どもの頃に誰でも一度は考える空想ですよね。
『のび太と雲の王国』はそんな子どもの頃の夢を叶える物語です。

タイムマシンで過去や未来を旅したり、宇宙や異世界を冒険するのもワクワクしますが、自分たちで壮大なスケールの王国を造るというのも、また別の種類のワクワク感に満ちています。

そんな子どもの創造性を刺激するところが、『のび太と雲の王国』の魅力といえます。

天上人の謎と次第に増していく緊迫感

王国建設にともなう序盤のワクワク感は途中から立ち消えて、いつのまにか不穏な空気が物語に流れ始めます。

天上世界にいたのは一見親切そうな天上人。ですが、ドラえもんたちを心から歓迎している様子はありません。

断片的な要素が徐々にひとつになっていき、天上人の内心と意図がわかるにつれて、物語は緊迫感を帯びていきます。

序盤の牧歌的な雰囲気からは似ても似つかないシリアスな方向性に物語が進んでいくのも本作の特徴の1つですね。

人間はどうするべきか?突きつけられる問題

ストーリーが進むと、なぜ天上人が地上人を憎んでいるかが明らかになってきます。天上人の主張は正当で、目を背けられない地上人の蛮行を視聴者は突きつけられるんですね。

同時に、天上人の切り札である「ノア計画」があまりにも一方的で、地上人の立場を無視したものかもわかってきます。

天上人とドラえもんたちの、どちらの立場も理解できるという状況。
それが、観ている側にいろいろと考えさせる構造になっているんですね。

社会派作品ゆえのこの複雑な構造も、本作の見どころの1つです。

最終的に、ドラえもんたちは天上人を脅してでも「ノア計画」を止めようとしますが、そのせいで話は複雑で予想だにしない方向に転がっていきます。

最後に

映画ドラえもん『のび太と雲の王国』は、歴代シリーズでも異色の作品といえます。

雲の王国という夢のある題材を扱いながら、裏には人間の行動を問う強いメッセージが込められています。その点で、シンプルな子ども向けアニメとはいい難いです。

また、少しずつ謎が明らかになっていくストーリー構成はエキサイティングですが、小さい子どもには少し難しいかもしれません。

『のび太と雲の王国』をとくにおすすめできるのは

  • シンプルな冒険活劇より、考えを巡らせるような深い作品が観たい人
  • ドラえもん映画のなかでもちょっと変わった作品が観たい人
  • ドラえもんとのび太が活躍する作品が観たい人

といった感じです。

話で聞くよりも、一度観ると全体像がすんなりわかる作品なので、興味のある方は観てみてくださいね。

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