『のび太のドラビアンナイト』とは?あらすじと見どころを解説(ネタバレ注意)

この記事では、映画ドラえもん『のび太のドラビアンナイト』の

  • 詳しいあらすじ
  • 基本情報
  • 見どころ

などを中心に解説します。

ぜひ最後まで読んでくださいね。

『のび太のドラビアンナイト』とは?

映画公開時のキャッチコピー

「しずかちゃんが行方不明!砂ばくの奥にある黄金の宮殿。そこに住む者の正体は……!?」

 

『のび太のドラビアンナイト』
公開年月日 1991年3月9日
通算 11作目
監督 芝山努
脚本 藤子・F・不二雄
時間 99分
動員数 360万人(歴代映画ドラえもんシリーズで12位)
主題歌 『夢のゆくえ』
歌 白鳥英美子
歌詞 武田鉄矢
曲 白鳥澄夫
編曲 渡辺雅二
リメイク なし
ざっくりストーリー

ひょんなことから絵本の世界に迷いこんだしずかを助けるため、794年のバグダットに旅立つドラえもん一行。

苦労して砂漠の黄金宮にたどり着いたドラたちを待ち受けていたのは、アラビアンナイトにも登場する伝説の男、船乗りシンドバッドだった。

一方、密かに黄金宮を乗っとる計画を立てる奴隷商人アブジルと盗賊のカシム。

いま、黄金宮の覇権とシンドバッドのプライドをかけた戦いがはじまる──。

歴代映画ドラえもんシリーズと比較しての特徴はこちら。

  • アラビアンナイトを題材にしたロードムービー的な冒険活劇
  • 難しいことを抜きにした純粋なエンターテイント

『のび太のドラビアンナイト』は歴代作品中でも、かなりエンターテインメントに振り切った珍しい作品です。

大掛かりなSF的な仕掛けもなく、ホラー要素もなく、謎解き要素もなく、ヒューマン要素も薄い。

アラビアンナイトの世界を下敷きにして描かれた、シンプルで、骨太なロードムービー的作品。

それゆえ、ドラえもん一行が登場人物を演じている映画を観ているかのような感覚に襲われます。

また、視聴後に残るのは、よくできた時代劇を見たあとのような爽快でサッパリした感覚。

涙なしでは観られないエンディングを迎える宇宙開拓史や、日本誕生を観終わったときとは、また別の感覚ですね。

『のび太のドラビアンナイト』の詳しいあらすじ

ネタバレ注意!
ここからは詳しめにあらすじを書いていきます。ネタバレを気にする方はスルーしてくださいね。

1. 絵本世界に迷いこんだしずかを救え!

ひみつ道具『絵本入りこみぐつ』で絵本の中に入りこみ、その世界を現実のように体験して遊ぶドラえもんとのび太。

のび太が気に入ったのは、絵本『船乗りシンドバッドの冒険』だった。

のび太は一度現実世界に戻ると、今度はしずかを誘って2人で『ピノキオ』の世界に入る。

一足先に絵本に入って遊んでいたジャイアンとスネ夫。次第に普通の絵本に飽きてくると、今度はページがはずれたいくつかの本をバラバラに重ねて、その中に入ってしまうのだった。

『ピノキオ』のストーリーは途中からめちゃくちゃになってしまい、それに興ざめするしずか。

1人で絵本の世界から抜け出そうと飛んでいくが、そこで空飛ぶ絨毯に乗った男とぶつかり、絵本の世界に投げ出されてしまう。

翌日、4足あったはずの絵本入りこみぐつが3足しかないことに気づくドラえもん。

3人のうち誰が戻っていないか直接確認しに行くのび太だったが、しずかの姿だけが確認できない。

一方、絵本を丹念に調べたドラえもんは、アラビアンナイトの1ページに、絵本入りこみぐつの片方が落ちているのを発見する。

もう一度、しずかの家に向かうドラえもんとのび太。
しずかの不在を確認し、家に戻って絵本の中に入ろうとするが、すでにママが絵本を庭で燃やしてしまったあとだった。

もはやしずかを助けに行く方法はないと思えたが、宇宙完全大百科で調べたところ、アラビアンナイトに実在の人物が2人登場することがわかる。

その時代のアラビアに行けば、アラビアンナイトと繋がりがあることから、しずかを助けることができるかもしれない。

そう考えた2人は、当時のアラビアに向かうことを決意する。時間旅行公社のガイドロボット、ミクジンに案内を頼むと、ジャイアンとスネ夫とともにタイムマシンに乗りこむのだった。

2. 盗賊カシムの謀略

794年のバグダットに到着し、焚き火を囲みながら、今後の方針を相談するドラえもん達とミクジン。
些細な言い合いから腹を立てたミクジンは4人の前から姿を消してしまう。

突然、盗賊カシムが首領を務める砂漠の盗賊団に囲まれる4人だったが、実在した歴史上の人物の1人、アルラシード王の騎馬隊に命を救われるのだった。

4人はアルラシード王の歓待を受けて、交通手形を貰うと、情報収集のために港町バスラを訪れる。

なかなか手がかりが掴めない中、運良く1人の蛇使いの男がしずかのことを知っていた。10日前に出帆した奴隷船に乗っていた子だという。

4人は男のいうがままに船を買い、乗組員を集めてもらうと、急いで奴隷船を追って出帆する。

夜、のび太は奴隷商人に連れられて砂漠を歩くしずかの夢を見る。

ふいに目を覚ますと、4人は寝袋ごと海に投げ出されており、それは乗組員達の仕業だった。

そこで、ようやく4人は蛇使いの男が盗賊のカシムで、乗組員はその手下達だと気づくのだった。

3. 魔神に連れられて黄金宮へ

嵐になり、激流に流されて海岸で目を覚ます4人。

スネ夫は、真っ赤な火の玉が自分達を岸まで運んでくれたという。

ドラえもんはなにか道具を出そうとするが、そこで四次元ポケットが消えていることに気づく。

落胆する4人は北へ向けて砂漠を出発するが、やがてあまりの暑さにのび太が倒れてしまう。

その頃、盗賊カシムも船ごと嵐に流され、同じ砂漠をさまよっていた。
カシムは盗んだ四次元ポケットからいくつか道具を出してみるが、使いこなすことができない。

一方、奴隷商人アブジルに連れられたしずかは、オアシスで水浴びをしていた。
アブジルの目を盗み、砂漠を駆けて逃げだすしずかだったが、それに気づいたアブジルもラクダであとから追ってくるのだった。

夜、スネ夫は空を走る不思議な木馬を目撃するが、幻だと思って自分の目を信じることができない。

翌日、砂漠を歩く4人のもとに巨大な魔神が飛んでくる。
魔神は無言で4人を帽子に乗せて飛び立ち、やがて光り輝く砂漠の果ての黄金宮にたどり着くのだった。

4. 黄金宮を取り戻せ!

黄金宮のプールに浸かり、ようやく息を吹き返すのび太。
黄金宮の主人は、しずかが絵本の中でぶつかった空飛ぶ絨毯に乗っていた男で、のちにアラビアンナイトの主人公として描かれるシンドバッドだった。

昨夜、空飛ぶ木馬に乗って砂漠を散歩していたシンドバットは、偶然砂漠をさまよっているドラえもん達を見つけて、魔神に迎えに行かせたのだった。

4人はシンドバッドに迎えられ、黄金宮の豪華な暮らしと、不思議な魔法グッズのコレクションを紹介される。
やがて、砂漠を一回りしてきたランプの精が、女の子が男に追い回されているのを見たと報告する。

一同は絨毯で現場に急行し、アブジルからしずかを取り返すことに成功する。黄金宮に戻り、楽しいひとときを満喫する5人。

一方、砂漠に取り残されたアブジルは、旧知の仲だったカシムと偶然出会い、一緒に黄金宮を目指す。

歩けば10日はかかるところを、アブジル達は岩場の中に存在する不思議な抜け道を使い、あっという間に黄金宮の前に到着する。

ドラえもん達が砂船で黄金宮の外に出ている間に、中に忍び込むアブジルとカシム。

異変に気づいた一同は黄金宮に戻るが、先に魔法グッズのコレクションを奪ったアブジルに、地下牢に閉じ込められてしまう。

果たして5人とシンドバッドは、アブジルから黄金宮を取り戻すことができるのか?

ラスト

地下牢で昔話をするシンドバッド。

昔、嵐の海で1人の男を助けた。未来から来たというその男が、お礼にこの黄金宮を建ててくれて、魔法のグッズコレクションもその男に貰ったのだ。
その話を聞いて、ドラえもん達は、その男がタイムトラベラーで、コレクションは未来の道具だったと確信する。

打つ手がない一同だったが、赤い火の玉に化けたミクジンの助けで牢屋を脱出する。
その後、一度は黄金宮の外に閉め出されるが、カシムが捨てた四次元ポケットをミクジンが回収していたことがわかると、一同はふたたび士気をあげて黄金宮に乗り込む。

黄金宮の動力スイッチを入れて、王宮ごと空を飛んで逃げようとするアブジル。必死に追いかけるシンドバッドはアブジルとの激しい一騎打ちに勝利し、戦いは幕を閉じる。

きっとまた遊びに来ると約束し、シンドバッドに別れを告げる5人。
今度来るときは、シンドバッドが登場するアラビアンナイトの絵本を持ってくると約束するのび太だった。


『のび太のドラビアンナイト』のネット上での感想と評価は、以下の記事にまとめています。

⇒『のび太』『のび太』の評価・レビューまとめ

『のび太のドラビアンナイト』の登場人物

レギュラーメンバー

『のび太のドラビアンナイト』で注目のレギュラーメンバーは…、とくに誰か一人に絞ることは難しいですね。しいていえばしずかでしょうか。

しずかは絵本に取り残されたのち、奴隷商人アブジルに捕らえられています。登場するシーンは割と少なめですが、ストーリー進行のきっかけになる大事な役回りといった感じです。

また、しずかを助けるために旅立った4人のなかの、特別だれかにスポットライトがあたるということはありません。そういう意味では、割と珍しい作品といえます。

ゲストキャラクター

ミクジン

時間旅行公社のガイドロボット。
おばけみたいに足がなく、八重歯がチャームポイント。
火の玉みたいな光になることができる。解説好きでドジ。だけど責任感は強い性格。
わたくし管理人ミクジンの名前は、ここから拝借しています。

ハールーン・アル・ラシード王

実在の人物。アラビアンナイト(千夜一夜物語)に登場する。
盗賊「砂漠のさそり団」を追っていたところ、偶然のび太たちに出会い、親切にしてくれる。サイン入りの通行手形をのび太たちにくれる。

シンドバッド

砂漠の黄金宮に住む冒険家。
のちにアラビアンナイトで船乗りシンドバッドとして描かれる男。勇敢で親切な性格だが、かなりのお喋り。

不思議な道具のコレクションを持っている。若い頃、船の難破にあったタイムトラベラーを助けたところ、お礼に道具のコレクションを譲り受け、黄金宮を建設してもらった。

しずかが絵本の世界に取り残される事になったのは、魔法の絨毯に乗るシンドバッドとぶつかったことが原因。
でも、しずかとシンドバッドを含めて、登場人物でそれを知るものは誰もいない。

ランプの精

魔法のランプをこすると出てくる妖精。
のんびりやでおっちょこちょいな性格。ランプをこすった者の言うことしかきかない。砂漠でアブジルに追われるしずかを見つける。

敵キャラクター

カシム

盗賊団「砂漠のさそり団」の親玉。
「砂漠のさそり団」はハールーン・アル・ラシードに壊滅させられるものの、逃げのびる。港町バスラでは、老父に変装しドラえもんたちを騙して、船を用意させることに成功する。
ドラえもんのポケットの秘密に気づいたり、船を乗っ取るなど悪知恵が働く男。

アブジル

奴隷商人。しずかを奴隷として砂漠で連れ回す男。
過去にシンドバッドから助けてもらったことがあり、黄金宮にも行ったことがある。シンドバッドはアブジルの忘れ薬を飲ませたつもりだったが、アブジルはそれを吐き出していたため、黄金宮についての記憶がある。
悪知恵が働くうえに、ドラえもんたち4人が一斉にかかってもこてんぱんにされるなど、腕も立つ。

『のび太のドラビアンナイト』に登場するひみつ道具

登場するひみつ道具一覧

  • 絵本入りこみ靴
  • タケコプター
  • 宇宙完全大百科
  • タイムマシン
  • 風神うちわ
  • ミノムシ式スリーピングバッグ
  • お利口ターバン
  • ノビール水道管
  • グルメテーブルかけ
  • ネットロケット
  • 空とぶふろしき
  • 通り抜けフープ
  • 変身ドリンク
  • スモールライト

注目のひみつ道具

絵本入りこみ靴

『のび太のドラビアンナイト』の物語が始まるきっかけとなるのが、この「絵本入りこみ靴」。この靴を履いて絵本に飛びこめば、絵本の世界に入りこめるというもの。

飛びこんだ先は絵本の世界の空中で、地面まで降りていきます。
反対に、絵本から出るときは、上空までゆっくりと飛びあがって出ることになります。

『のび太のドラビアンナイト』の見どころ

つぎに見どころをピックアップしてお伝えします。

アラビア世界での冒険

まず、『のび太のドラビアンナイト』の魅力といえば、その中世のバグダットの世界観と雰囲気です。

みんなでタイムマシンに乗って最初にアル・ラシード王が現れる岩場に座っているシーンを観ると、これから大冒険が始まるなーといつもワクワクしてきます。

そこから嵐に巻きこまれたり、砂漠をフラフラになるまで歩いたりして、ついにアラビアンナイトの世界に突入していきます。

一度タイムマシンに乗ったあとは、途中で現実世界に戻るシーンが一切ないのもいいんですよね。そのあたりも、ロードムービー的な作りとして興ざめさせないよう、意識してあるのかなと思います。

シンドバッドの道具コレクション

シンドバッドが持つ道具コレクションは、まるでドラえもんのひみつ道具のように、便利で常識を覆すものばかり。

  • 空とぶじゅうたん
  • 空とぶ木馬
  • 魔法のランプ
  • ビンの大魔神
  • 兵士のタネ
  • 千里眼の池
  • 砂船
  • 砂イルカ
  • 砂クジラ
  • 胸さわぎのブローチ
  • 吸血コウモリ

これらのコレクションが作品に登場するのを見ているだけで、ワクワクしてきて、作品の世界観を盛り上げてくれます。
なかでも、空とぶ木馬や、空とぶじゅうたん、魔法のランプなどは、現実のアラビアンナイトにも登場することで有名ですね。

アブジルとの息を呑むバトル

奴隷商人アブジルはずる賢くて、執念深く、油断のならない強敵です。
このアブジルのせいでドラえもんたちは終盤ピンチに陥りますが、そのおかげで作品の緊張感は後半にかけて上がっていきます。

ラストのシンドバッドとの一騎打ちはまさにハリウッド映画のクライマックスかのような展開で、白熱しますよ。
強敵アブジルは憎たらしいやつですが、『のび太のドラビアンナイト』を盛り上げるうえでなくてはならない存在といえます。

『のび太のドラビアンナイト』の考察

『のび太のドラビアンナイト』を観ていて感じた疑問と考察を紹介します。

なぜ絵本の中のしずかをタイムマシンで助けに行ける?

本作『のび太のドラビアンナイト』でもっとも議論されているポイント。
それは、なぜ絵本に閉じ込められたしずかを現実世界のタイムマシンに乗って助けに行けるのか、ということです。

これについては、原作のコミックスの説明も映画のそれとなんら異なるところがありません。

「アラビアンナイトには実在する人物が2人いることがわかった。だから、その時代のアラビアに行けば繋がりがあるかも。。。」

というコレだけです。

そもそも絵本入りこみぐつは絵本の中に入っているわけで、過去に行けばなんとかなる、という発想自体に疑問を感じてしまいます…。

ただ、その後もドラえもんの

「架空世界と現実世界の壁がぼやけてきてる」
「ついにアラビアンナイトの世界に入ったぞ!」

などのセリフがあることから、たしかに過去では架空世界が溶けこんでいるという設定だとわかります。

でも、普通に絵本世界に入りこんで助けに行くという設定じゃダメだったのかな?という気がしないでもありません。(ストーリー上ではわざわざママに燃やさせて絵本に入れなくしています)

アラビアンナイトは未来人の物語?

上の話と関連しますが、本作のSF的な仕掛けとして、シンドバッドが持っている魔法グッズのコレクションは、未来の道具だったという設定があります。

シンドバッドがタイムトラベラーを助けてお礼に貰ったというくだりですね。

これを拡大解釈すると、アラビアンナイトの『アラジンと魔法のランプ』に出てくる魔法のランプや、『空とぶ絨毯』に出てくる空とぶ絨毯、『空飛ぶ木馬』に出てくる空飛ぶ木馬などは、すべて未来の道具だったという受け止め方ができます。

つまり、アラビアンナイトを構成する有名な物語のいくつかは、未来の道具や未来人の影響によって綴られた物語だった、といえるわけです。

または、じつは未来人が主人公の物語だったともいえるかもしれません。

藤子先生は、このSF的な仕掛けを作品の裏テーマにするために、あえてママに絵本を燃やさせて、タイムマシンでしずかを助けに行くというストーリーを描いたのかもしれませんね。

最後に

『のび太のドラビアンナイト』は、歴代ドラえもん映画と比べても痛快な冒険物語に仕上がっていて、難しいことを抜きにして楽しめます。

『のび太のドラビアンナイト』をとくにおすすめできるのは

  • ドラえもんシリーズのなかでも純粋な冒険物が観たい人
  • アラビアンナイトやシンドバッドの世界観が好きな人
  • 昔話や童謡、物語が好きな子ども

といった感じです。

ぜひ、ドラえもん流のアラビア風冒険譚を楽しんでくださいね。

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