この記事では『映画ドラえもん のび太の魔界大冒険』の
- 詳しいあらすじ
- 見どころ
- リメイク版との比較
などを中心に解説します。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
『のび太の魔界大冒険』とは?
「地球を破滅に追いこむ魔界人!戦うドラとのび太は、宇宙へ旅立つ!」
公開年月日 | 1984年3月17日 |
通算 | 5作目 |
監督 | 芝山努 |
脚本 | 藤子不二雄 |
時間 | 97分 |
動員数 | 330万人(歴代映画ドラえもんシリーズで16位) |
主題歌 | 『風のマジカル』 歌 小泉今日子 曲 馬飼野康二・NOBODY 歌詞 康珍化・湯川れい子 |
リメイク | あり。2007年に『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』としてリメイク。 |
『のび太の魔界大冒険』は、ドラえもん映画5周年記念として製作されました。
歴代でも人気が高く、お気に入りナンバーワンに挙げられることも多い作品です。
子どもが憧れる魔法世界と、それとは裏腹にトラウマ級の悪魔&ホラー演出もたっぷりです。
またドラミが映画初登場した作品としても有名ですよ。
歴代映画ドラえもんシリーズと比較しての特徴は、
- SF要素強めの練られたストーリー!
- 作品に一貫して漂うホラーな雰囲気。
- 社会風刺・感動路線ではなく、純粋な冒険活劇!
などが挙げられます。
リメイク版についても記事の後半で解説していますよ。
『のび太の魔界大冒険』の詳しいあらすじ
1. 魔法の世界へ
不思議な夢を見るのび太。
ドラえもんと2人で、城に囚われたしずかを助けにいく。ドラミに魔法が使える帽子をもらい、ジャイアンによく似た魔王と、スネ夫によく似た悪魔をやっつける──。
と、2匹を退治し、いい気分に浸っていたところでママに起こされる。
ドラえもんと近くのゴミ捨て場まで粗大ゴミを捨てに行くのび太。そこでドラえもんそっくりの不思議な石像を見つけた2人は、それを持ち帰ることにする。
頭から魔法のことが離れないのび太は、物知りな出木杉に、魔法が絶対に存在しないと言い切れるのか、と質問しに行く。
出木杉の答えは、魔法はかつて科学と対立するものとして存在していたが、科学が発達した途端に衰退し、現在では完全に消滅してしまったという残念なものだった。
帰り道、木陰に座っているのび太に、今度はのび太そっくりの石像が空から降ってくる。
庭に並べた2体の石像がうめき声を発したり、夜中に動くことに不審がるのび太とドラえもん。
2人は気軽な思いつきで、もしもボックスで魔法が使える世界を実現してみる。
すると、一見すると元の世界と変わらないが、魔法が科学に変わって文明の基礎を築く世界が現れるのだった。
2. 美夜子との出会い。魔界星の接近
魔法世界の出現に喜ぶのび太。
ところが、魔法を使いこなすのは難しく、学校でも簡単な魔法が使えないことで叱られ、友達にも馬鹿にされてしまう。
ジャイアンとスネ夫に、ホウキで空を飛び遠乗りする「ホウキング」に誘われるが、のび太はホウキで空を飛ぶこともできない。
仕方なくしずかが乗るホウキの後ろに乗せてもらい空を飛んでいると、森の中で空を飛ぶジャイアンとスネ夫を見つける。
2人は黒い猿を追いかけていたが、突然猿の魔法による攻撃を受け、落下し意識を失う。
ドラえもん、のび太、しずかの3人は2人を介抱するため、近くに見えた森の中の屋敷に向かう。
その屋敷に暮らすのが、魔学博士の満月とその娘の美夜子だった。満月は、魔界星が少しずつ地球に近づいていて、いずれ地球は乗っ取られてしまうという魔界接近説の提唱者だった。
ジャイアンとスネ夫は満月の薬で元気を取り戻し、5人は美夜子の空飛ぶ絨毯で、家まで送ってもらう。
のび太とドラえもんが家に戻ると、もしもボックスがママに捨てられていて、2人は驚愕する。急いで探しに行くが、すでに埋め立て地で処分され後の祭りだった。
その夜、のび太の部屋に1匹の猫が訪れる。
猫の正体は美夜子だった。屋敷を襲った悪魔に魔法で姿を変えられて、月明かりに照らされている間だけ人間の姿に戻るのだった。
満月博士は魔王倒すヒントが書いてあるとされる古文書「魔界歴程」を翻訳中に悪魔に連れ去られたが、美夜子は猫の姿に変えられながらも、ドラえもん達に助けを求めてやってきたのだ。
3. 魔界星に乗り込め!
美夜子はドラえもん達5人に一緒に魔界に乗り込んで大魔王デマオンを倒してほしいと頼む。運命でそう決まっているのだから、と。
ところが、5人はその頼みを断り、美夜子は姿を消してしまうのだった。
一度は頼みを断ったものの、美夜子が気になるドラえもんとのび太は、博士の屋敷があった森に向かう。
森で悪魔に見つからないよう身を潜めている美夜子。
2人が美夜子と合流すると、ホウキに乗ったしずかが悪魔に追われているのを見つける。
美夜子とドラえもんは悪魔を退治し、しずかも魔界へ向かう仲間に加わる。そこにジャイアン、スネ夫も加わり、6人は絨毯に乗って魔界星を目指して出発するのだった。
魔界星にたどり着いた6人は魔王のいる城へ出発する。
途中、魔界の不思議な環境に苦戦するものの、魔王のもとにたどり着く6人。
「魔界歴程」に書いてあるとおり、魔王の弱点の心臓に全員で銀のダーツを撃ち込むが、効果がない。美夜子が剣を持って立ち向かうが、いとも簡単に返り討ちにあってしまう。
魔王の攻撃で散り散りになってしまう一行。追手に追われる途中、偶然美夜子とのび太が落ち合う。
観念した様子の美夜子は、地球を救う最後の希望をのび太に託し、のび太を逃がすためにオトリになって敵の前へ出ていく。
泣きながら逃げるのび太。
ドラえもんと落ち合い、この苦境を脱するために最後の手段を使うことを決意する。
それは、タイムマシンでもしもボックスを使ったあの日に戻り、過去の自分たちが使うのを止める作戦だった。
4. タイムマシンであの日に戻れ!
取り寄せバッグで机ごとタイムマシンを取り寄せ、2人は過去に向けて出発する。
その様子を透視していた大魔王は、人を石にする魔法を使う怪物メデューサを2人にけしかける。
過去に到着し、自分達を探す2人。タケコプターで外に出ると、すぐに追いかけてきたメデューサに空中で石にされてしまう。
ドラえもんは粗大ゴミ置き場に、のび太は近くの木の上に落下する。
映画の冒頭で登場した2体の石像は、メデューサに石にされた2人自身だったのだ。
庭に放置された2人は、なんとかして体を動かそうとするが動けない。ところが、雲が途切れ月明かりに照らされると、猫にされた美夜子と同じように元の姿に戻って動くことができるのだった。
もとに戻った瞬間、寝静まった自分たちを起こそうと家の中に入り階段を駆け上るが、すぐに月は雲に隠れて、石になってしまう。
そんな2人のピンチを救ったのがドラミだった。
「虫の知らせアラーム」が鳴って心配になったドラミは、22世紀から飛んできて、タイムふろしきで2人を助けてくれたのだった。
2人からすべての事情をきいたドラミは、これで元の世界に戻せばすべて解決する、と自分のもしもボックスをポケットから出す。これで元の世界に戻して一件落着──。
と思いきや、のび太は腑に落ちない様子を見せる。
自分たちが元の世界に戻っても、魔法世界がパラレルワールドとして存在し続けると知ったのび太は、美夜子たちを救うために、もう一度タイムマシンで未来に戻る決意をする。
果たして、のび太は大魔王を倒し、美夜子や魔法世界の人々を救うことができるのか?
ラスト
タイムマシンの上で、ほんやくコンニャクを使って「魔界歴程」の未翻訳部分を読むのび太。
そこには魔王を倒す方法の続きが書かれてあった。魔王の心臓は宇宙の星の海の中に隠してあり、それは赤く脈打って輝く星だ──。
魔界星に着いた3人は、スパイ衛星で敵の様子を探る。
ドラミが敵に注意を引きつけているうちに、ドラえもんとのび太は捕らえられていたメンバーを助け出す。
一行は、空飛ぶ絨毯で「赤く脈打つ星」を探しに出発するが、大魔王自ら悪魔軍を率いて宇宙空間を追ってくる。
探している星に心あたりがあった満月博士が絨毯を操縦し、残りのメンバーで悪魔軍の攻撃を食い止める。
文字通りまるで心臓のように赤く脈打つ星の前にたどりつく一行。最後の一本だけ持っていた銀のダーツをジャイアンが全力で投げ込み、同時にドラミがビッグライトでダーツを照らす。
大魔王の断末魔が響き渡り、魔王の心臓は燃えさかる火の玉になって魔界星に落ちていく──。
地球に戻ったのび太は、美夜子に自分が別の世界から来たことを打ち明ける。そして、名残惜しそうな美夜子に別れをつげて、魔法の存在しない世界に戻るのだった。
『のび太の魔界大冒険』のネット上での感想と評価は、以下の記事にまとめています。
登場人物
レギュラーメンバー
『のび太の魔界大冒険』で注目のレギュラーメンバーは、のび太とドラえもんです!
ジャイアン、スネ夫、しずかの3人に特別なスポットライトは当たっていません。
話の起点、登場頻度、ゲストキャラとの絆など、どの角度からみても、「のび太&ドラえもん回」といえます。
ゲストキャラクター
満月美夜子(まんげつ みよこ)
もしもボックスで創り出した魔法世界で暮らしている美少女。優秀な魔法使いで、若くして空飛ぶ絨毯の免許を持ち、プロレーサーを目指している。
父である満月博士がさらわれ、自分も魔法で猫の姿に変えられてしまうが、月光を浴びているときだけ人間の姿に戻ることができる。
美夜子が猫になってドラえもんが喜ぶシーンもあることから、美夜子はのび太とドラえもんの2人にとってのヒロインといえる。
満月博士
美夜子の父親。魔学博士。魔界接近説を唱えるが、世間の賛同は得られておらず、怒りと焦りを感じている。
過去に唯一魔界に足を踏み入れた人物、ナルニアデスが著した「魔界歴程」を発見する。魔界歴程には悪魔を倒すヒントが書かれているとして翻訳を急ぐが、途中で悪魔に連れ去られる。
ドラミ
冒頭ののび太の夢の中と、終盤に登場。
映画ドラえもんシリーズでは、重要な局面で唐突に登場するイメージがあるが、本作では一応冒頭に伏線として軽く登場する。
ちなみに、原作のコミックスでは冒頭には一切登場しない。
敵キャラクター
大魔王デマオン
魔界星の王。巨大な身体の持ち主。2本の角が生え、黄緑色の目をした鬼のような顔をしている。
何千年もの間、魔界族が狙っていた地球を自らの手で征服することを企み、魔力を高めながら魔界星を地球に接近させる。
翻訳途中の魔界歴程には、心臓に銀の矢を打ち込むのが魔王を倒す方法だと書かれてある。ところが、未翻訳の部分にさらに重要な情報が書かれてあったため、ドラえもん達は1度敗戦を余儀なくされる。
メジューサ
大魔王のしもべ。相手を石にする能力を持つ悪魔。
女幽霊のような薄灰色の容貌で、両目は赤く、頭からヘビを生やしている。
使い魔
満月邸のまわりをうろつき、様子をさぐる悪魔軍の使い魔。黒い猿のような容貌。
ジャイアンとスネ夫に追いかけられたことに逆上し、2人を気絶させる。見かけによらず強い魔力を持っている。
『のび太の魔界大冒険』に登場するひみつ道具
登場するひみつ道具一覧
- もしもボックス
- タケコプター
- ひらりマント
- 魔法の帽子(ただのかざり)
- あべこべクリーム
- 耳バン
- 道路光線
- 石ころ帽子
- 照明ミサイル
- 取り寄せバッグ
- タイムマシン
- たいむふろしき
- 虫の知らせアラーム
- スパイ衛星
- 通り抜けフープ
- ショックガン
注目のひみつ道具
注目のひみつ道具は、もしもボックス。
空想世界を本物の世界にする道具ですね。
見た目は電話ボックスそのもので、自分の希望を電話すると、その希望がかなった世界が出現します。
本作で魔法の世界を出現させるキーアイテムです。
『のび太の魔界大冒険』の見どころ
つぎに見どころをピックアップしてお伝えしますね。
ワクワクする魔法の世界
『のび太の魔界大冒険』の舞台は、一見普通の世界に見えるものの、実は魔法が科学の代わりに発展・普及している世界です。
学校に魔法学の授業があったり、クルマの代わりに空飛ぶ絨毯が普及していたり、ガスの代わりに魔法の火で料理をしたりと、日常に魔法が溢れているんですね。
この日常に溢れる魔法のシーンがとても印象的です。子どもなら誰だって憧れること間違いなしです。
小さい頃に観た映画ってストーリーよりも何気ないシーンが印象に残るものですが、まさに、そういう子ども心に刺さるシーンがたくさんある映画ですね。
芝山監督お得意の恐怖演出
『のび太の魔界大冒険』では、芝山監督のお得意の恐怖演出が炸裂しています。
特に、初期作品は後期よりもよりエッジが効いた怖さが魅力ですよ。
- 魔界星の不気味な空気
- 夢に出てきそうな悪魔のデザイン
- 宇宙空間で戦うシーンの不安になってくる感じ
小さい子どもには怖すぎるぐらいなんですが、それがクセになるというか、その怖さが何度も観たくなるような魅力を秘めているんですよね。
練られたストーリー
『のび太の魔界大冒険』は、歴代映画ドラえもんシリーズでも1、2を争うほど実験的で練られたストーリーになっています。
冒頭ののび太が見る夢から、石像を発見するくだり、さらにもしもボックスで魔法の世界が出現するところまで、さまざまな伏線が張られています。
終盤になると伏線が次々と回収されていく快感を味わうことができますよ。
国民的SFアニメの面目躍如といえるこの大胆なストーリーが本作の一番の魅力だと思います。
美夜子とのび太
『のび太の魔界大冒険』のヒロインである美夜子は、かわいさと格好良さを併せ持った魅力的なゲストキャラクターです。
のび太はこの美夜子に出会ったときから一目惚れしているような素振りを見せ、美夜子ものび太の勇気と優しさを頼りにしています。
両想いと思われるシーンこそ出てこないものの、この2人の関係性も本作の注目ポイントだといえますよ。
リメイク版『のび太の新魔界大冒険』とは?
続いては、リメイク版の『のび太の新魔界大冒険』について解説していきます。
基本情報
「キラキラかがやく、君になれ!」
公開年月日 | 2007年3月10日 |
通算 | 27作目 |
監督 | 寺本幸代 |
脚本 | 真保裕一 |
時間 | 112分 |
動員数 | 326万人(歴代映画ドラえもんシリーズ18位) |
主題歌 | mihimaru GT「かけがえのない詩」 |
ドラえもん映画のリメイクには、最低限の改変でオリジナルに忠実なタイプと、逆に変更点満載で大胆にリメイクするタイプがあります。
『のび太の新魔界大冒険』は後者の、大胆にリメイクしているタイプです。
他の大胆リメイクタイプと同様に、新設定の追加や新キャラクターの追加がなされています。
また、より現代的な映画らしく、各キャラの心情をしっかり描くような方向性で、ドラマティックにリメイクされていますよ。
その分、オリジナルの魅力が失われているという評価がされることも多いです。
監督は寺本幸代さんで、歴代初の女性監督となりました。
追加ゲストキャラクター
重要なゲストキャラが追加されました。
美夜子の母
幼い頃に病気にかかった美夜子の命を、悪魔と契約して、自分の命と引き換えに助ける。ところが、満月はそのことが魔界星を地球に引き寄せるきっかけになったと推測している。
オリジナルにはなかった「美夜子自身の物語」を構成するための重要人物。
キャラクター設定変更
オリジナルのキャラ設定がいくつか変更されています。
満月美夜子
幼い頃に、当時の魔法では治療できない病気にかかったという設定が追加。オリジナルでは魔法世界にしか登場しなかったが、リメイクでは現実世界で生きている姿も描写される。(映画冒頭とエンドロール。ただし、ドラえもんたちと絡むことはない)
宇宙研究者として働く父の満月の助手を努めている。
満月牧師
オリジナルでは博士という肩書きだったが、リメイクでは牧師に。森の中の屋敷も教会へと変更されている。魔法学を研究していて、魔界接近説を唱えるのは同じ。
美夜子と同じく、リメイクでは現実世界で生きている姿も描写される。
メジューサ
オリジナルよりも重要なキャラクターに変更。
オリジナルでは終盤のみに登場したが、リメイクでは序盤か終盤にかけて要所に登場。美夜子の母についてカギを握る存在。
ゲスト声優
『のび太の新魔界大冒険』の主要なゲスト声優はこちら。
キャラクター | 声優 |
---|---|
満月 美夜子 | 相武紗季 |
満月牧師 | 河本準一(次長課長) |
美夜子の母 | 久本雅美 |
メジューサ | 久本雅美 |
久本雅美さんは、キャラクターが異なる2役なのでかなり難しかったのではないかと思います。
ネット上での評判はかなり賛否が分かれていました。
でも、ときとして全否定されやすいゲスト声優という枠で考えれば称賛する声は多く、個人的にも皆さんかなり上手に務められていたと感じました。
リメイク版『のび太の新魔界大冒険』でのストーリー変更点
『のび太の新魔界大冒険』は、オリジナルからの変更点が大小含めてかなり多いです。
別作品として一からあらすじを書いたほうが流れは掴めると思いますが。。。一応変更点を下にまとめています。
設定変更
ストーリー上の重要な設定の追加・変更はこちら。
- オリジナルでは魔法世界でしか登場しなかった満月博士と美夜子が、リメイクでは現実世界でも登場。
- 美夜子は幼い頃に重い病気になったが、母が悪魔と契約して命を差し出してくれたことで、一命をとりとめた。
- 悪魔は月の光に弱いという設定の追加
- 月光灯という月の光を出せるひみつ道具の追加
- 魔界歴程を探さなければならない設定の追加(オリジナルでは最初から満月博士が持っていた)
- のび太と美夜子の絆の話+しずかと美夜子の絆の話もストーリーの軸に据えられている。
- 死んだはずの美夜子の母がメジューサとして生きていた。
以上の設定の追加・変更を軸に、展開もかなりガラッと変更が加えられています。
冒頭〜序盤
冒頭〜もしもボックスで魔法世界を実現させるまで、です。
- 冒頭ののび太の夢は全カット。代わりに現実世界の満月と美夜子が描かれる。
- 石像の登場方法が異なる。
- 石像が家に侵入後、石像を四次元ポケットに入れる。
- その後、ドラえもんが腹痛を感じて22世紀に帰る。ドラミとセワシに定期検査を受けさせられそうになるが、痛みが収まったので、すぐにのび太の部屋に戻ってくる。
- 早くもメジューサが登場。
①オリジナルでは冒頭がのび太の夢からはじまり、伏線として唐突にドラミも登場しますが、これらはすべてカットされています。
代わりに、満月と美夜子が現実世界で生きる姿が描写されます。宇宙センターのような場所で、謎の天体が地球に接近し、危機的状況が示唆される緊迫したシーンです。
②ドラえもんの石像は、いきなりのび太の部屋の天井を破って落ちてきます。のび太の石像はなぜか空き地に置いてあったらしく、ジャイアンとスネ夫にイタズラされていて、それをしずかが知らせにきてくれます。
③このシーンが終盤の四次元ポケット内のシーンの伏線になります。
④この痛みの原因は、ポケット内の石像ののび太とドラえもんが月光灯を偶然浴びたことにより、人間に戻ってポケットの中で暴れたことが原因です。
⑤大魔王からドラえもん達を始末するように命令されて、地球へ出発します
中盤
魔法世界出現〜魔界星到着まで。
中盤はオリジナルから大幅な変更が加えられています。
時系列で主要なシーンを並べています。
- 黒い流れ星(メジューサ)が落ちてくるのを見つけるドラえもん達と美夜子。
- 使い魔にやられて落下するジャイアンとスネ夫を、空飛ぶ絨毯に乗った美夜子が助ける。その後、教会に連れていってくれる。
- 満月牧師の教会にて、回想シーン。美夜子の母が悪魔と契約したエピソード。
- メジューサが教会を襲う。
- メジューサが美夜子に化けてのび太達と一緒に戦う。
- ニセの美夜子から古文書がのび太達に郵便で送られてくる。手紙つき。
- ジャイアン、スネ夫、しずかも揃って、どこでもドアでニセの美夜子の元へ。ニセの美夜子は空飛ぶ絨毯で悪魔から逃走中。
- 魔界歴程が封印してある場所を見つけ、のび太、しずか、スネ夫、ジャイアンの4人で魔界歴程を入手。外で待っていたニセの美夜子とドラえもんと合流する。ここでニセの美夜子が正体を現す。2本ある魔界歴程のうち重要な方の1本をメジューサに奪われる。
- のび太の家にねずみにされた本物の美夜子が来る。魔界星に行くことをみんなが決心する。ネズミの姿だとドラえもんが一緒に冒険できないので、みんなで魔法を上からかけて美夜子は猫の姿になる。
⑤メジューサは魔界歴程が欲しいため、美夜子に化けてドラえもんたちに近づきます。魔界歴程を自分で探す面倒を省くためと、結界のなかに合った場合に自分では近づくことができないためです。
見分け方として、メジューサが美夜子に化けているときはペンダントが赤いです。戦っている悪魔も使い魔も、本人以外は誰も気づいていない状況です。敵をあざむくにはまず味方から、という状況。
ちなみに、本物の美夜子はメジューサにネズミの姿に変えられています。こちらのペンダントは緑色。
ニセの美夜子は魔界歴程を一緒に探してそれを持って魔界星に乗り込んでほしいと頼むが、ドラえもんとのび太はやんわりと断ります。
⑥魔界歴程を一緒に探すのを断られたため、ニセの美夜子はあとから古文書と手紙をのび太宛に送ります。このままでは魔界歴程が手に入らないからです。
⑦どこでもドアをあけると飛行中の絨毯の上だったのですが、ニセの美夜子はちょうど悪魔から逃走中でした。つまり味方をあざむいている最中。絶妙のタイミングですね。メジューサはのび太達がどこでもドアでそろそろ来るはずと読んでいたのでしょうか?
終盤〜ラスト
魔界星到着後からラストまでの間の変更・追加点です。
- 魔界星に到着後、人魚の悪魔や迷いの森のシーンのカット。
- 石像になったドラえもんとのび太が4次元ポケットに収納されて、なかで暴れる。
- ドラミが異変に気づいた理由の変更。
- 石像から元に戻ったドラえもん達は、捕われた仲間助け出したあと、月に向かう。そこでナルニアデスが月に閉じ込めた魔力を消し去りに来たメジューサと会う。メジューサは狙い通り月に込められた魔力を消し去るが、その反動で美夜子の母の姿に戻り、命を落とす。
- 最後に銀のダーツを投げるのがジャイアンではなくのび太に。
- デマオンを倒したあと、美夜子の母のペンダントから光が出て、魔力を失った月を復活させる。
③オリジナルでは虫の知らせアラームによって知ります。リメイクでは、せわしのアドバイスでスペアポケットから4次元ポケットをのぞいたら石になった2人を見つけたという設定。
④人間の姿に戻った美夜子の母は、美夜子と満月に謝罪します。そして、デマオンの心臓の場所を教えて死んでしまいます。
⑥これに関してはまったく説明がないので推測になりますが、おそらく月の魔力が復活し、今後悪魔の手が伸びてくる心配がない、ということを示唆した演出かなと思いました。美夜子の母はいつまでも見守っているよ、ということでしょう。
最後に
『のび太の魔界大冒険』は、歴代ドラえもん映画のなかでもトップを争う人気作品です。
SF的な仕掛けや伏線も多い作品なので、大人が見ても楽しめる作品ともいえますね。
『のび太の魔界大冒険』を特におすすめできるのは
- とりあえず歴代ドラえもん映画で人気作品を観てみたい人
- ホラーっぽい雰囲気が苦手ではない人全員
といった感じです。
ぜひお子さんと一緒に、先の展開を推理しながら見てくださいね。
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